木材は、人が住む場所の材料に適した地球素材です。
木材は吸湿性に優れ、ただ木材と共に暮らすだけで湿度を快適に保ってくれるという特徴があります。また快適なだけでなく、高温多湿を避けられるため、
ダニやカビの抑制に役立つのです。
木材は、人間にとって快適な数値といえる「湿度55%前後」を常に保とうとします。私たちの丹後でも夏に除湿器、冬に加湿器と、全く相反する完成品が家庭に導入されますが、それは湿度を快適に保つための道具。しかし、家そのものが湿度を一定に保とうとするなら、それら家電製品が必要となる機会は減ることでしょう。
自然であるがままに合理性を手に入れることができる。これが、木造住宅が現代にも残る一つの理由ではないでしょうか。
とりわけ橘建築では無垢材、つまり「そのままの木」にこだわります。そのままも木こそ、昔から利用され、今も良いとされる地球素材ですが、それには理由があります。
木材の持つ成分に触れることで、人間は脳からアルファ波を出すことが、科学的にも証明されています。つまり木材の家、というだけでストレスホルモンの低下を促すことができるのです。
その中でもなぜ無垢材にこだわるのか?
そこにも、私たち丹後の地域性が反映されています。無垢材でない木の素材=合板は痛みが早く、とりわけ湿度に弱いとされています。丹後は日本の中でも湿度の高い地域。であれば、耐久性の下がる合板を信頼して使うことは難しいのです。このため、橘建築では、構造材・壁・床、それぞれに無垢の木を使うことを推奨しています。
また人工の素材は「年月が経つ=古く汚く」なりますが、無垢の木は「年月が経つ=味わいが増す」とも言えるでしょう。普段の掃除も、汚いから綺麗にするだけではなく、磨けば磨くほどにツヤが出る、まるで「育てる」ような感覚を味わうことができるのです。
橘建築では主に、4寸角の柱を使います。一言でいうと、「一般的に見て太い柱」です。
丹後は、雪に関しては中途半端な地域を言わざるを得ません。たくさん雪が降ったかと思えば、すぐに日が照って中途半端に溶かしてしまう。多くの水を含んだ雪は、かなりの重量になるのは、丹後の方なら誰でもご存知でしょう。
丹後の家は、その雪の重さに耐えられなければならないのです。事実、重さに耐えられない家は、確実に歪みができ、すぐに「戸が開けにくい」などの症状として現れます。こういった重さに耐えられるように、と思うと、自然と丈夫な太い柱を選ぶことになるのです。
橘建築は1本1本の木材を自宅工場で加工しています。
木材には節・反り・曲がりがあり、1本ずつその特徴が違うのです。大切なのは、その違いを無理に矯正する形で使用するのではなく、その違いを「生かす」ことです。
この木の持っている特徴はこうだから「こう使ってやるのがいいな」と考えるのが橘建築の仕事です。その思いを木材に込めるためにも、自宅工場で加工するのが最も良いと考えています。
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